今、「屋根が壊れている」と言って点検を持ちかける屋根修理詐欺が増えています。国民生活センターは、屋根工事の点検商法のトラブルが多いと注意喚起しています。
実は私も危うく屋根修理詐欺に引っ掛かりそうになりました。自分は用心深いから大丈夫と思っていても、巧妙な詐欺トークに、心は動揺し不安な気持ちにさせられます。
今回は私自身の体験談を交え、屋根修理詐欺の手口と防衛策についてお伝えします。
典型的な勧誘トークを知っておくことで、詐欺を未然に防ぐことができます。大事なお金をだまし取られないために、ぜひ参考にしてください。
屋根修理詐欺とは
最近増えている屋根修理詐欺の手口とはどのようなものか。
詐欺の声かけからお金を請求されるまでの一般的な流れを説明します。
【屋根修理詐欺の流れ】
①家を訪問し「屋根が壊れている」と伝える
②ハシゴがあるからと無料点検をもちかける
③屋根に上り、工具で屋根を壊し写真を撮る
④写真を家主に見せ、早急に修理するよう促す
⑤屋根を元の状態に戻し、高額な修理代を請求する
特に悪質なのが、修理の必要がない屋根を壊してから修理させるという行為です。
重要なのは、絶対に屋根に上らせないことです。詐欺業者にハシゴをかけさせてはいけません。
屋根修理詐欺の手口を知る
多くの場合、詐欺業者は工事作業員を装ってやってきます。
「近くで工事をしていたらお宅の屋根が壊れているのが見えた」と声をかけてきます。
「壊れている」の他に「屋根が浮いている」とか「一部が剝がれている」など、具体的にそれらしく屋根の状況を説明してきます。
家の中で一番確認しづらい場所が屋根です。住宅密集地では離れた場所から見ても、屋根全体の状態を把握するのは難しいでしょう。
詐欺業者は「住人が確認できない」という弱点を突いてきます。見えない場所が「壊れている」と言って住人を不安にさせるのです。
見た目から信じ込ませる
人が外界から得る情報のうち、視覚からの情報は約8割といわれています。
詐欺業者は見た目にとても気を配ります。
相手を安心させるため、清潔感のある作業着姿で現れます。
Tシャツズボンより作業着の方が「工事のプロ」と脳が勝手に認識し、無意識に警戒心が薄れることを詐欺業者はよく分かっています。首に巻いたタオルで汗を拭き、いかにも近くて工事をしている感じを出して話しかけてきます。
私たちは普段から人を疑って生活しているわけではありません。第一印象が良ければ、無意識に性善説に立って接してしまうことも多いはずです。
詐欺業者はどうすれば疑われずに屋根にハシゴをかけられるかを必死で考えています。親切で善良な作業員だと信じ込ませるために様々な方法を使います。
詐欺業者は見た目に手を抜くことがないことを覚えておきましょう。
トークの中に一部事実を混ぜる
詐欺業者はトークの中に一部本当のことを混ぜて話します。
私が実際に話しかけられたトークの内容を以下に再現してみます。
こんにちは。ヤマダ建装と申します。
今ご近所の鈴木さんのお宅の外装工事を行っています。
工事現場からお宅の屋根がよく見えるのですが、屋根の一部が剥がれていて、ちょっと心配になりまして・・・
このトークの中に本当のことが含まれています。まずご近所の鈴木さんのお宅が、外装工事をしているのは本当です。鈴木さんのお宅は3階建てなので、私の家の屋根が見えるというのも納得できます。そしてヤマダ建装の会社も実際にある会社です。地元で何年も営業している名前の知られた会社です。
詐欺業者は部分的に事実を含めることで、話全体がより信憑性を帯びることを知っています。
事実が含まれる話を聞いた直後に「家の屋根が剝がれている」と言われたら、つい本当かもしれないと思ってしまいがちです。
疑いも持たれにくくするため、詐欺業者は工事をしている家の周辺に狙いを定めて訪問します。「屋根が壊れているのが見えた」と言えるからです。そして「鈴木」や「ヤマダ建装」など実際にある名前を利用します。
名前は家の表札ですぐ確認できますし、建物を覆う養生シートを見れば工事会社の名前が大きく書かれています。詐欺業者は誰でも入手できる情報を巧みに利用して私たちの警戒心を和らげようとしてきます。
心配しているフリをして不安をあおる
詐欺業者は何かと「心配」というワードを使います。
「台風がきたら心配」
「屋根が飛ばされないか心配」
「雨漏りが心配」
「心配している」と言いながら、実は住人の不安をあおっているのがお分かりでしょうか?
話を聞いていて自分の気持が不安に傾くようなら「これは詐欺かもしれない」と疑ってみることが大切です。
屋根修理詐欺の防衛策を知る
屋根修理詐欺にあわないための防衛策についてお伝えします。
大事なことは、焦らないことです。普段から「どんなときも自分はこうする」というスタンスを決めておけば、詐欺業者のトークに流されることもありません。
一人で決断しない
詐欺業者は「今すぐ工事が必要」などと言って急かしてきます。
不安な気持ちになっても一人で判断せず、家族や友人に相談することが大切です。
家族や友人に相談できない場合は、消費者ホットラインに電話して相談してみましょう。同じような詐欺案件があればくわしく教えてくれるはずです。
消費者ホットライン「188(いやや!)」
【独立行政法人 国民生活センター】
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20231011_1.html
自分の目で確認する
「本当に屋根が壊れていたらどうしよう」と心配に思うなら、近所に確認できるスポットがないか探してみましょう。私は高台に登ることで自宅の屋根を確認することができました。屋根に剝がれは全くありませんでした。
近くに高い建物があれば屋根全体を確認することができます。建物の管理人さんに事情を説明すれば、確認させてもらえるかもしれません。
確認できるようなスポットがなく、屋根の状態に不安を感じるなら、自分で業者を探してドローンでの点検を依頼してみることをおすすめします。
「お断り」ステッカーを貼る
事前の詐欺防衛策として最も有効な方法は、詐欺業者を家に寄せつけないことです。またセールスや勧誘など、向こうからやってくる営業にロクなものはありません。
「情報は自分で取りに行く、向こうからやってくるものとは契約しない」と決めた方がよいでしょう。
そこでおすすめしたいのがこの「お断り」ステッカーです。
「依頼していない訪問による一切の勧誘・契約締結をお断ります」
一般的な「セールス勧誘お断り」等のステッカーより毅然とした強い意思を示しています。そして特筆すべきは「特定商取引法」を引用していることです。
特定商取引法は「契約を締結しない意思」を表示した消費者への契約の勧誘を禁止しています。
上記文言を補足説明すると
特定商取引法では、消費者が契約締結の意思がないことを示した場合、事業者には以下の行為が禁止されています。
①その場で勧誘を継続すること
②後日改めて勧誘すること
つまり、このステッカーを貼れば「契約を締結しない意思」を示していることになり、業者がインターホンを押して勧誘すれば、①その場で勧誘を継続することに抵触し、特定商取引法違反になるのです。
詐欺業者は「法律」という言葉を嫌います。こちらが法律を知っているとアピールをすることで、詐欺業者が近寄ってくる確率は格段に下がります。
実際、このステッカーを家のインターホンに貼ってからは、変な勧誘やセールスはピタッとなくなりました。予想以上の効果に驚いています。
まず詐欺業者にピンポンを押させないことが、一番の防衛策といえるでしょう。
おわりに
私が実際に詐欺業者と話した経験から、屋根修理詐欺の手口と対策についてお伝えしました。
詐欺に引っ掛からないようにするには、色々な詐欺の手口を知ることが大切です。
詐欺の手口はどんどん巧妙に変化します。
今どんな詐欺が流行っているのか常にアンテナを張り、すぐに詐欺だと気づけるようにしましょう。
そしてインターホンに「お断り」ステッカーを貼って、詐欺業者を寄せつけないようにしましょう。
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