学研教育総合研究所が実施している「小学生白書Web版2019年8月調査」によると、小学生の約8割が習い事をしているということです。
今は魅力的な習い事がたくさんあります。
英語、ピアノ、水泳、プログラミング、実験教室、等など
どれも子どもの将来に役立ちそうで、習わせていないと取り残されたように感じてしまうかもしれません。
最近では、学童でも先生を招いて習い事ができるサービスを提供するなど、その需要は高まる一方です。
習い事を始めるきっかけは様々です。
子どもがやりたいと言ったから。親が子どもの頃習っていたから。お友達に誘われて。周りがみんな習っているから。
レッスン料はだいたい月5000円~10000円前後。
今は教育費もそんなにかからないし、このくらいならまあいいか。
無料体験レッスンもあるし、とりあえずやらせてみようかな。
そんな風に軽い気持ちで習い事を始めてしまうと、習い事の数はすぐに2つ3つと増えてしまいます。
習い事に通わせる目的を考えよう
習い事に通わせるなら、何のために通わせるのか、その目的をしっかり考えましょう。色々な目的があると思いますが、ざっくりと二つに分かれると思います。
①学校以外の居場所づくり、友人づくり、体力づくりのため
②子どもの好きなこと、得意なことを見つけて伸ばすため
目的が①に近いのであれば、習い事に通うこと自体が目的となっているので、子どもが習い事の時間を楽しめているなら、その目的はある程度達成されたと言えます。
目的が②の場合、まず好きなこと得意なことを探すところから始めます。
子どもの性格に合っていて楽しめるものそして親子ともに興味が持てるものを探してみましょう。習い事は、部活動と違って親が練習をみてあげたり子どもから習い事の話を聞いたりアドバイスをしたりなど、親が関わることが多いです。親が子どもの習い事を一緒に楽しんでいると子どものやる気もアップします。
英語やプログラミングは将来役に立つ?
英語やプログラミングなど勉強系の習い事は、将来役に立つと親に人気の習い事です。
でも本当に将来役に立つのでしょうか?
私も長男に英語を習わせました。中学に上がる前に先取り勉強をして英語が得意科目になればと小学4年生から3年間通わせました。そして中学生になってどうなったかと言うと、特別英語が好きになったわけでも成績がよいわけでもありませんでした。
もっと長い期間、英語教室に通っていた同級生もいましたが、成績アップには結びついていないようでした。
英語でトップの成績を誇っていたのは、中学になって洋楽にハマり、英語を一生懸命勉強した生徒でした。
ようは本人の興味とやる気が一番大事なのです。
習い事で学習した数年間の内容は、中学生や高校生が興味を持ってやる気を出せば、すぐに習得できてしまうものなのです。
二人の子育てを終えた今思うのは、勉強系の習い事が将来の役に立つのは、ほんの一部の子どもだけだということです。
幼少期から英語が好きでやる気のある子どもなら、英語教室に通う意味があります。きっと自分から色々なことを吸収して、英語力をどんどん伸ばしていくでしょう。
しかし、親の方が一生懸命で宿題も親がおしりを叩かないとやらないようであれば、早々に見切りをつけた方がいいでしょう。英語の成績を上げたいなら、中学生になってから個別の英語塾に通わせた方がよっぽど効率的です。
プログラミングも同じです。プログラミングが好きで楽しいというレベルでなければ、習わせる意味はありません。
子どもの頃にプログラミングを少しかじったくらいでは、プログラマーになるアドバンテージにはなりません。プログラマーになるためには、膨大な量の勉強が必要です。そしてその膨大な勉強をこなしていくためには、強い興味と情熱がなければ無理なのです。
習い事は浪費です
誤解を恐れずに言えば、子どもの習い事は浪費です。
教育費は字のごとく費用です。ではその費用に対応する収益は何かといえば、子どもが大学(高校)卒業後、就職し定年までの間に仕事で得るお金です。教育費は将来の収益を生み出すための費用と考えることができます。
たとえば学習塾に通うことは成績を上げるという明確な目的があります。成績が上がれば希望する学校に入れて、よりよい仕事を得ることができます。学習塾にかける教育費は収益につながるのです。
では習い事はどうでしょう。子どもの将来の収益に役立つのかと言えば、ほとんどの場合、役には立たないでしょう。中には、ピアニストやサッカー選手になる人もいますが、超レアケースです。1%もいないでしょう。
収益に結びつかない、そういう意味で習い事は別にやらなくていいもの、つまり浪費なのです。
ですが、浪費の中にこそ人生の豊かさがあります。
習い事で楽しさや喜びを感じられたならば、それは素敵なことです。
そしてそれは、子どもがつらいことや悲しいことに直面したとき、きっと心の支えにもなってくれるでしょう。
習い事は固定費です
子どもの習い事は毎月支出される固定費です。
「家計の見直しは、固定費から」と言われるように、真っ先に削減の対象にされるのが固定費です。それだけ金食い虫であるということは忘れないようにしましょう。
月々のレッスン代はそれほど高くないと感じても、何年も通えば大きな出費になります。兄弟で習い事を2つも3つも習わせていると、家計にはボディブローのように効いてきます。半年に1度は、習得状況や本人のやる気を確認し、継続か見直しかを冷静に考えてみましょう。
習い事のやめ時はいつか
習い事を始めたら、子どもが習い事を楽しんでいるか、継続できそうか、子どもの様子を見守りましょう。
習い事のやめ時は、興味がなくなったとき、練習をしなくなったときです。
たとえば練習をしないなど、気になるようなことがあったとき、子どもとよく話し合うことが大切です。子どもと話し合う前に、習い事の先生に相談すると「ここを乗り切れば大丈夫」とか「どのお子さんもそうですよ」などやめないように上手く誘導されますので注意が必要です。どんな説得にも流されない自信があるなら先生に相談するのもありですが、自信がないなら先生に相談することはやめましょう。
興味がなくなったとき
「楽しくないから、やめたい」もし子どもがそう言ってきたら、すぐにやめさせてよいと思います。
やめ癖がつくのではと心配する必要はありません。
ただその子に合っていなかっただけなのです。
「いつも中途半端なんだから」などと子どもを責めてはいけません。習い事はやってみないと合っているか分かりません。体験してみて楽しくないと感じたら、すぐにやめた方がお金も時間も無駄になりません。
せっかくここまでやったのにもったいない」と思うかもしれませんが、合わないことを知るための経験と必要経費だったのです。
はじめから相性ばっちりの習い事に出会える方がめずらしいかもしれません。
子どもの中には、興味がなくなっても「やめたい」と言い出せない子もいます。親に遠慮したり、やめることが悪いことだと思ってズルズルと続けてしまいます。
子どもが習い事に対してどう思っているのか、それとなく聞いてみましょう。
そして習い事は楽しくないなら無理して続けるものではないということを伝えてあげましょう。
練習や宿題をつづけられないとき
ピアノや英語など、家で練習が必要な習い事については、習い事を始める前に子どもと約束をさせましょう。
「1日30分は練習が必要だよ。それができないなら、やめようね」
「宿題をやらないでレッスンに行くようなことがあったら、やめようね」
練習や宿題は自発的にやらないと意味がありません。はじめは、親が見てあげてもよいと思いますが、親が言わないとやらないようなら、やめさせた方よいでしょう。
あとがき
習い事は、「楽しい」がないと続きません。
「楽しい」があるからこそ、単調な練習や勉強もがんばることができるのです。
長女はピアノが好きだったので9年間、ピアノを続けることができました。
社会人になり、最近はあまり弾きませんが、弾きたいと思えばまたいつでもピアノを始めることができます。
自分の中にピアノという世界を持っていることは財産です。
その財産は目には見えないけれど、誰にも奪うことができないものです。
習い事の本当の目的は、目に見えない財産を作ることなのかもしれません。
長男の場合は、親が誘導して習い事をさせた結果、上手くいきませんでした。親の方が一生懸命になってしまい長男はいつも受け身状態でした。結局親子ともに疲弊しただけで終わってしまいました。
その当時、私は色々なことが見えていませんでした。今振り返ると、長男にはかわいそうなことをしたなと思います。
その後長男は中学生になってあることに熱中します。
それは「メルカリ」です。
習い事ではありませんが、自分の好きなこと得意なことになっています。
家の中で不要になったものをメルカリに出品する中で、商品の見せ方や写真の摂り方を工夫したり、文章力を磨いたり、リセールバリューについて学んだりしました。親が関わらなくても、分からないことは自分で調べ、自発的に学んで行動しています。楽しそうです。
子どものときに自分に合う習い事に出会えなかったとしても、あせる必要はありません。自分の好きなこと得意なことは、習い事という枠にはハマらないものなのかもしれません。それはいつ出会うか分かりません。
習い事をしないのならそれだけお金はかかりません。習い事をさせたと思って積み立てNISAで毎月運用してみてはいかがでしょう。
子どもが18歳になったとき、自由に使えるお金があった方が子どもにとって有意義かもしれません。
コメント