読書感想文を書くって気が重いですよね。書いているときも楽しくないし、後で読み返してもちっともおもしろくない。
なぜ、読書感想文がつまらないのか、それは大人が子どもに教える「読書感想文の書き方」のせいです。
このホームページでは「読書感想文を書いて何かモヤモヤする」とか「もっと自由で楽しい読書感想文が書きたい」という人に向けて情報を発信します。
もし「読書感想文でよい点数を取りたい」とか「国語の先生にほめてもらいたい」という目的があるなら、この記事はまったくご期待に添えないので、読まないようにしてください。
「読書感想文の書き方」という呪い
ネットを見るとたくさんの「読書感想文の書き方」が紹介されています。
「読書感想文はこういう風に書きましょう」とか、「先生に気に入られる書き方テンプレートを教えます」など、塾の先生や教育関係者が色々記事を書いています。
読書感想文にはどんなことを書くべきか、おおむね以下のような内容を推奨しています。
①この本を読むことになったきっかけ
②本のあらすじ
③気になった箇所とそれぞれについての感想
④本を読む前と読んだ後で自分の考えがどう変わったか
このような内容について書くと先生受けのよい模範的な読書感想文が出来上がるということです。
古い記憶をたどると、私が小学生の頃もやはり先生は同じことを言って、生徒に読書感想文を書かせていました。読書感想文に対する指導は何十年も前から、何も変わっていないのです。
今でも多くの子どもがこの「読書感想文の書き方」に沿って書いているのではないでしょうか。
この昔から変わらないこの「読書感想文の書き方」こそが、呪いのように子どもを苦しめ、読書感想文をつまらなくしている原因なのです。
2つの感想文を比較してみよう!
ここに「浦島太郎」の読書感想文を2つ用意しました。
パターンA → 「読書感想文の書き方」に沿って書いたもの
パターンB → 「読書感想文の書き方」を無視して書いたもの
ぜひ読み比べてみてください。
浦島太郎 読書感想文【パターンA】
ぼくがこの本を選んだのは、まだ小さかった頃、親から読み聞かされたおとぎ話をもう一度きちんと読み返してみたいと思ったからです。
浦島太郎は、浜辺で子どもたちにいじめられている小さなカメをみつけます。かわいそうに思った太郎は子どもたちにお金を払ってカメを助けてあげます。
子どもを叱らずお金を渡してカメを助けるなんて、太郎はカメだけでなく子どもに対しても思いやりのあるやさしい人だと感じました。
カメはお礼に太郎を竜宮城に連れて行ってあげます。竜宮城は美しく、きれいな乙姫さまにもてなされ、太郎は毎日ごちそうを食べて楽しく過ごしました。太郎が村に帰るとき、乙姫さまは「絶対にあけないように」と言って玉手箱を渡しました。
村に帰った太郎は、村の様子がすっかり変わってしまったことに驚きました。竜宮城で過ごした数日間は、村では何十年もの時が経っていたのです。
このときの太郎の気持ちを考えると、かわいそうでなりません。きっと寂しさと心細さに打ちひしがれていたことでしょう。
そこで太郎はついにあけてはいけないと言われていた玉手箱をあけてしまいます。中から白い煙がでてきて太郎はおじいさんになってしまいました。
もしぼくが太郎の同じ立場だったとしても、やっぱり玉手箱をあけてしまったと思います。
それにしても、なぜ心やさしい太郎がこんなひどい目に合わなければいけないのでしょう。太郎は何も悪いことをしていないのにかわいそうだと思いました。
ぼくは、この本を読んで「約束は絶対に守るべきだ」ということを学びました。
![](https://sakusaku194.com/wp-content/uploads/2022/12/浦島全体-1024x768.jpg)
浦島太郎 読書感想文【パターンB】
この本を読んで思ったことは浦島太郎は自分に似ているということです。
浦島太郎は「絶対にあけてはいけない」と言われていたのに玉手箱をあけてしまいました。ぼくもやってはいけないと禁止されると、余計にやりたくなってしまいます。
「動かないでじっとしてなさい」と言われると、貧乏ゆすりしたくなるし、友達から「これは絶対に言うなよ」と口止めされると、5分後にはもうしゃべりたくて口がうずうずしてしまいます。
なぜ禁止されると逆にやりたくなってしまうのか、自分なりに考えてみました。
芸人が熱湯風呂で「押すなよ、押すなよ、絶対押すなよ」と言った後に熱湯の中に落とされてしまうネタがあります。「押すなよ」はフリなのです。
「絶対やるなよ」とか「絶対しゃべるな」と言われると、「これはもしかしたらやった方がいいのかな」と考えている自分がいます。
「〇〇するなよ」という言葉が「○○しろよ」という意味としてぼくの中にインプットされてしまうのです。
たとえば友達が「絶対言うなよ」とわざわざ釘をさすのは、本当はウワサを広めてほしいと思っているのではないかと思ってしまいます。
浦島太郎の乙姫だってそうです。本当は太郎に玉手箱をあけてほしいと思っていたのではないでしょうか。そうでなければ、絶対にあけてはいけない箱を太郎に渡すはずがありません。太郎は「きっとこれはあけろということなんだ」と思って玉手箱をあけてしまったのです。
禁止されると逆にやりたくなってしまうのは、きっとぼくだけではないはずです。
大人はこれを逆手にとってうまく活用するといいと思います。
たとえば子どもに「絶対に勉強はするなよ」と勉強を禁止したら、きっと子どもは勉強をしたくてたまらなくなるでしょう。これぞ、浦島太郎効果です。
![](https://sakusaku194.com/wp-content/uploads/2022/12/浦島たまてばこ.jpg)
いかがですか?パターンAとパターンB どちらがおもしろかったですか?
パターンBの方が、どんどん先が読みたくなって、おもしろいと感じたのではないでしょうか。
読書感想文で感想を書かない方がいいワケ
おもしろい読書感想文を書こうと思ったら、本の感想は書かない方がよいでしょう。
感想文なのに「感想を書くな」なんて禅問答みたいですが、感想を書くと文章が幼稚で薄っぺらい印象になってしまうのです。
なぜなら感想とは「おもしろい」「楽しい」「悲しい」といった形容詞だからです。低学年の小学生がよく使うので、どうしても幼稚な印象になってしまいます。また形容詞は具体的表現ではないので、読み手の心に響かせることもできません。
本を読むきっかけやあらすじも書く必要がありません。
本を読むきっかけなんて大したことないに決まっているからです。読者が興味がないことをわざわざ書く必要はないのです。(もし壮大なきっかけがあるなら、読書感想文よりそっちをメインで書いた方がいいでしょう)
あらすじを書くと、本の紹介文のようになってしまいます。あらすじを書くのではなく、一部分を切り出して書いた方がよいでしょう。本の内容について書くのは、文章全体の1割~2割くらいが適当です。
読書感想文は自分中心で書こう
おもしろい読書感想文を書くために必要なのは、たった一つ、自分自身に向き合って書くことです。
パターンAは、浦島太郎という本について書いています。
パターンBは、浦島太郎の本をきっかけに自分が思ったこと、自分の主張を書いています。
パターンAのメインは本 パターンBのメインは自分です。
読書感想文では、自分の考え、自分のことを中心に語りましょう。自分語りがない読書感想文なんて「アンコの入ってないたい焼き」「黒柳徹子のいない『徹子の部屋』」です。
自分のことを語るためには、本のどの部分をチョイスして話を展開していくのか、その見極めが大事です。本の内容をどれだけ自分のフィールドに引っ張って自分のことを語れるか、それがおもしろい読書感想文を書くカギになるでしょう。
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