家の中がなんとなく散らかって見える──その原因のひとつが「書類」です。
郵便物、取扱説明書、給与明細など、日々増えていく紙類は、気づけば山のように積み重なってしまいます。
ペーパーレス化したいと思いながらも、「どう進めたらいいのか分からない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、家庭内の書類をスッキリ整理するための具体的な方法やペーパーレス化の手順についてご紹介します。
過去にペーパーレス化に挑戦して挫折してしまった方も、ぜひ参考にしてみてください。
ペーパーレス化を成功させる3つのアイテム
ペーパーレス化をスムーズに進めるためには、次の3つのアイテムが非常に役立ちます。
本記事では、これらのアイテムを使用することを前提にご紹介していますが、すべてを揃えなくても、参考になる部分だけ取り入れていただければ十分に効果があります。
スマートフォン
スマートフォンを使って、手軽にスキャンすることができます。スキャンしたデータの閲覧やクラウドとの連携にも優れており、外出先でもデータの確認や共有が可能です。場所を問わず活用できるツールとして役立ちます。
パソコン
書類の整理・編集・保存管理には、やはりパソコンが欠かせません。書類の確認も、スマートフォンよりパソコンのほうが画面が大きく、圧倒的に見やすいです。ファイルの整理や、必要な情報の検索もスムーズに行えるため、効率的に作業を進められます。
スキャナー「ScanSnap iX1600」

大量の書類を電子化するには、スキャナーが便利です。高画質でスピーディーに書類をデータ化できるため、効率よく作業を進められ、ストレスもありません。
おすすめのスキャナーは「ScanSnap iX1600」です。
70枚のコピー用紙を一度にスキャンでき、両面スキャンにも対応しています。
価格は決して安くはありませんが、スキャナーを導入することでペーパーレス化のハードルが大きく下がります。書類の多さに悩んでいる方にとっては、導入を検討する価値のある1台です。
ペーパーレス化の前に準備すること
ペーパーレス化を成功させるには、事前の準備が重要です。準備が不十分だと作業が煩雑になり、ペーパーレス化が長続きしない原因になりかねません。
まず、スキャンしたデータの保管場所をあらかじめ作っておくこと、そしてスキャンがスムーズにできるよう設定しておくことが基本となります。ペーパーレス化の準備について、詳しくご紹介します。
クラウドストレージ「Googleドライブ」を用意する
ファイルの保管場所として、クラウドストレージを利用しましょう。クラウドストレージとは、インターネットを通じてアクセスできるデータの保管場所のことです。パソコンや外付けHDは壊れる可能性があるため、保管場所には適していません。
個人でも無料で使えるクラウドストレージサービスが多数提供されています。中でもおすすめなのが Googleドライブ です。
Googleドライブをおすすめする最大の理由は、無料で使える容量の大きさにあります。OneDrive(Microsoft)やiCloud(Apple)が提供する無料容量が5GBであるのに対し、Googleドライブでは15GBまで無料で利用できます。
この15GBという容量は、約20,000枚のPDF(A4サイズ・カラー)を保存できる大きさです。日常的なファイル管理には十分な容量だと言えるでしょう。
Googleドライブは、Googleアカウントがあれば誰でもすぐに利用することができます。
Googleドライブ活用までのステップ
①Googleアカウントを作成する
Googleドライブを使用するには、Googleアカウントが必要です。まだアカウントを持ってない方は、以下のURLからGoogleアカウントを新規作成してください。
https://accounts.google.com/signup
②Googleドライブへアクセスする
Googleアカウントを作成したら、Googleドライブにアクセスしてみましょう。Googleのホーム画面からGoogleドライブへアクセスすることができます。

③「パソコン版Googleドライブ」をインストールする
前述のGoogleドライブへのアクセス方法は、少し煩雑だと感じる方も多いと思います。もっと簡単にGoogleドライブを利用する方法として、パソコン版Googleドライブをおすすめします。
パソコン版Googleドライブをインストールすると、デスクトップにGoogleドライブフォルダを置くことができ、ドラッグ&ドロップでファイルをアップロード・ダウンロードすることが可能になります。パソコンとクラウド間でファイルが自動的に同期されます。
【パソコン版Googleドライブのインストール方法】
1.ブラウザで「パソコン版Googleドライブ」と検索する
2.「パソコン版ドライブをインストールする」をクリック

3.インストーラをダウンロードする
Windows版。Mac版のインストーラーを選び、ダウンロードする。

4.ダウンロードしたインストーラを実行する
Windows の場合「 GoogleDriveSetup.exe」をダブルクリック
Mac の場合「GoogleDrive.dmg」をダブルクリック
画面の指示に沿って操作するとインストールが完了します。
「デスクトップにショートカットを追加しますか?」の項目にチェックを入れると、デスクトップにGoogleドライブフォルダが作成されます。
④スマホに「Googleドライブ」をインストールする
スマホにも「Googleドライブ」アプリをインストールしましょう。スマホでスキャンしたPDFや画像を簡単にGoogleドライブに保存できます。
また、スマホから手軽にファイル閲覧ができるので、外出先で必要な資料にアクセスしたいときに便利です。
【モバイル版Googleドライブのインストール方法】
Androidの場合はGoogle Play、iPhoneの場合は、App Storeから「Googleドライブ」と検索してアプリをインストールしてください。Androidの場合は、最初からGoogleドライブがインストールされていることが多いです。

スマホにスキャンアプリ「Adobe Scan」をインストールする
スマホをスキャンツールとして使用するには、スキャンアプリをインストールする必要があります。おすすめのスキャンアプリは「Adobe Scan」です。Adobe Scanをおすすめする理由は以下の通りです。
①スキャン操作が簡単
Adobe Scanは操作が簡単です。アプリを開いてカメラボタンを押すだけで、すぐにスキャンが始められます。ペーパーレス化を継続するためには、素早くスキャンできることがとても重要です。
②簡単トリミング・見やすいデータに自動補正
Adobe Scanには、自動補正・トリミング機能があり、紙のゆがみや傾きを自動で修正してくれます。また撮影時に映り込んだ不要な影や光も自動で除去されるため、見やすいデータを簡単に作成できます。

ー完成したPDFー

③OCR(文字認識)機能搭載
OCRとは、スキャンした文書のテキストを自動的に認識する機能です。文書内の文字を後からコピーして編集したい場合や、文書内のキーワードを検索したいときに非常に便利です。
④Googleドライブへ簡単保存
Adobe ScanでスキャンしたPDFは自動的にAdobe Document Cloudに保存されます。Adobe Document Cloudは2GBまで無料で利用できます。
Google Driveへの保存も、以下の手順で手軽に行えます。
1. 画像を選択し「共有」マークをタップ

2.「コピーを共有」をタップ

3.「Googleドライブ」をタップ

3.「アップロード」をタップ

長期間の保存が不要な書類は、Adobe Document Cloud内で管理し、不要になった際に削除すれば、Googleドライブ内のファイルが増え続けることを防げるでしょう。
【「Adobe Scan」のインストール方法】
Androidの場合はGoogle Play、iPhoneの場合は、App Storeから「Adobe Scan」と検索してアプリをインストールしてください。

ScanSnap iX1600をカスタマイズ設定する
スキャナーScanSnapiX1600を使用する際は、セットアップ(使用できる状態にする)を行い、スムーズにスキャンできるようカスタマイズ設定する必要があります。
セットアップの流れとおすすめのカスタマイズ設定についてお伝えします。
【ScanSnap iX1600セットアップの流れ】
ScanSnap iX1600セットアップについて簡単に説明します。
セットアップは説明書を見ながら行いますが、ScanSnap本体の画面にも手順が表示されるので、画面の指示に従って進めることができます。
1. ScanSnapとパソコンをUSB ケーブルでつなげる
2. ScanSnap Homeをインストールする
「ScanSnap Home」とは、ScanSnapシリーズ専用のスキャナーおよび文書管理ソフトです。
3. パソコンと同じ無線アクセスポイントでWi-Fi接続を行う
【ScanSnap iX1600のカスタマイズ設定】
ScanSnapのセットアップが完了したら、「ScanSnap Home」アプリを使ってスキャン方法をカスタマイズしてみましょう。
ここでは、おすすめのカスタマイズ設定をご紹介します。あらかじめ設定しておくことで、以下のような操作が可能になり、スムーズにスキャン作業を進めることができます。
・両面スキャンや片面スキャンをワンタップで切り替え
・スキャンしたファイルを自動的にGoogleドライブに保存
・ファイル名を入力しなくても検索ができる
①「両面」「片面」2つのプロファイルを作成する
「プロファイル」とは、スキャン時の各種設定(読み取り設定、ファイルの保存先、連携するアプリケーションなど)をまとめて保存し、ワンタッチで選択できる機能です。
プロファイルを利用することで、スキャンするたびに細かな設定を変更する手間が省け、用途に応じたスキャンが簡単に行えます。
「両面スキャン」と「片面スキャン」の2種類のプロファイルを作成し、スキャン時にワンタッチで簡単に切り替えられるように設定します。
1. ScanSnap Homeで左上の「Scan」をタップ

2. 「新規プロファイル」を追加をタップをタップ

3. 左のテンプレートから「Googleドライブ」を選択

4. 読み取り面で「両面」を選択

5. プロファイル名を「Googleドライブ両面」に変更

以上の設定でワンタッチで両面スキャンできるプロファイルが作成されました。
1〜5の手順で同様に「Googleドライブ片面」を作成します。読み取り面を「片面」にすることを忘れないでください。
②ファイル名を入力しなくても検索できるようにする
スキャン後に毎回ファイル名を入力するのは、手間に感じる方も多いのではないでしょうか。後回しにするとファイルがたまり、どの書類だったのか分からなくなってしまうこともあります。また、ファイル名を間違えて入力すると、後から検索しても見つからない可能性があります。
そこでおすすめなのが「検索可能なPDF」として保存する方法です。PDF内のテキストが文字認識(OCR)できるようになります。この設定を有効にすれば、ファイル名を付けなくても、文書内の文字で簡単に検索できるようになります。
ファイル名は文書内のテキストから自動的に抽出されたタイトルで生成されるため、自分で入力する手間が省けます。
【「検索可能なPDF」の設定】
1. プロファイルを開く
①で作成したプロファイルを開いて追加設定してください。
2. PDFファイル形式「オプション」をタップ

3.「検索可能なPDF」に「✓」を入れ「OK」をタップ

「ファイル名の文書の言語が「自動」に変更されます。よろしいですか?
」
「検索可能なPDFにすると、スキャン後の処理に時間がかかる場合があります。」
このような確認メッセージが出たら、すべて「OK」をタップしてください。
スマホに「Scan Snap Home」アプリをインストールする
ScanSnap Homeは、パソコンにインストールされているので、わざわざスマホに同じアプリを入れる必要はないと思われるかもしれません。
しかし、スマホにもScanSnap Homeをインストールしておくことで、パソコンを開かなくてもスキャンができるという大きなメリットがあります。思い立ったときにすぐスキャンできるため、日常的なペーパーレス化のハードルがぐっと下がります。
そのため、スマホへのScanSnap Homeのインストールもぜひおすすめします。
【モバイル版ScanSnap Homeのインストール方法】
Androidの場合はGoogle Play、iPhoneの場合は、App Storeから「ScanSnap Home」と検索してアプリをインストールしてください。

インストール後、アプリを起動し、ScanSnapアカウントでログインすると、ScanSnap Homeを使えるようになります。
ペーパーレス化を長続きさせるコツ
ペーパーレス化は始めることも大切ですが、無理なく継続することがもっと重要です。以下のポイントを意識することで、紙に戻らない運用を習慣化できます。
「ため込まない」ルールをつくる
スキャンは「気づいたらすぐ」「帰宅したら必ず」など、決まったタイミングで行うようにしましょう。紙をため込むと面倒になり、やめる原因になります。
スキャナーは目に付く場所に出しておき、蓋を開けたらすぐに使えるよう電源を常にONにしておくことをおすすめします。
保存ファイルのフォルダ分けをしない
スキャンしたPDFが増えてくると、Googleドライブ内が雑然とした印象になり、つい種類ごとにフォルダ分けしたくなります。
しかし、フォルダをいくつも作ると、スキャン時に適切なフォルダを探して保存する手間が発生します。
Googleドライブは検索機能が非常に優れているため、フォルダ管理しなくても、検索ですぐに目的のファイルを見つけることができます。
そのため、Googleドライブでは整理整頓は必要ありません。明確な目的がないフォルダ分けはかえって非効率になることもあります。
書類ごとにスキャンツールを決めておく
一口に「書類」といっても、そのサイズや形状はさまざまです。片面印刷か両面印刷か、1枚ものか冊子かなど、形式によって異なります。書類の種類によって、ペーパーレス化の手順も変わってきます。あらかじめ、書類のタイプごとに使用ツールを決めておくと、毎回迷わず、スムーズにペーパーレス化を進めることができます。
なお、家電の取扱説明書については、わざわざ自分でスキャンする必要はありません。「トリセツ」という、無料で使える説明書管理アプリを利用すれば、スキャンするよりもずっと手軽にペーパーレス化できます。
ScanSnap(スキャナー)に適した書類
●枚数が多いもの
【例】給与明細1年分など
●両面スキャンするもの
【例】年賀状など
AdobeScan(スマホスキャン)に適した書類
●枚数が少ないもの
【例】郵便物など
●長期間保存する必要がないもの
【例】学校からの通知など
(たとえば保護者会のお知らせのように、短期間しか必要のない書類は、Googleドライブには保存せず、スマホのAdobe Scan内で確認し、不要になったら削除します)
●冊子状のもの
【例】通帳など
●厚みのあるカード
【例】銀行の乱数表カードなど
家の中をペーパーレス化して、すっきり暮らそう!
家の中にたまっていく紙類は、気づかぬうちにスペースと心の余裕を奪っていきます。
今回ご紹介したように、工夫次第でペーパーレス化はそれほど難しいものではありません。
すべてを完璧に進める必要はなく、自分にとって負担の少ない方法から始めてみるだけでも十分です。
紙が減ると、探し物の時間も、収納の手間も、そしてちょっとしたストレスも減っていきます。
「紙を手放す」という選択が、暮らしを少しラクに、そしてちょっとだけ心地よくしてくれるかもしれません。
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